カリフォルニア通信

胸が踊るような何かを、カリフォルニアの空の下から。ロードバイクと写真と音楽と物理について。

格安カーボンディープホイールを考える: Prime RPシリーズ(1/2)

ホイールが欲しい。

ローディーとして尽きない購買欲を一番高めるのは、平地で坂道で颯爽と自分を抜き去っていく人がカーボンディープホイールを使っているのを見たとき。

何あれ軽そう。ずるい。自分も欲しい。

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TDF2017でのフルーム選手。今一番ホットな選手です。栄光の黄色ドグマとDURAカーボンディープホイールのコントラストが眩しい。ソース:Chris Froome bids to end 22-year wait in 'vicious' Vuelta a Espana - CNN

ディープホイールは薄型よりも重量的には重くなりますがカーボンディープは見た目からして「軽そう」「速そう」な印象です。あくまで印象ですが。

それらの印象を一言であらわすと何よりもまず「カッコイイ」。

平地でスプリントをすることのない自称クライマーの私がディープリムの恩恵を感じることができるのかということは脇に置いておくとして(脇に置いといて良いのか不明ですが)、あのルックスを手に入れられるならある程度の出費も覚悟しても良いかもしれません

 

。。。ところが、こうして意気込んでネットでカーボンディープホイールの価格を検索すると、誰もが愕然とします。何度調べても、何度愕然としても、やはり愕然とします。

 

おかしい。ミッドクラスのエントリーカーボンとはいえ、私のTarmac SL4は数年前までツールドフランスで使われていたようなfact9r SL4フレームの(型落ちとなってから)Ultegra完成車として手に入れた自慢の機材です。その本体よりホイールのほうが高いはずがない。ホイールだけで20万も30万も出せる人は石油王か何かに違いありません。きっとこれは何かの間違いです。( ;∀;)

 

カーボンホイールの低価格化

お決まりの「こんなに高いのはおかしい(愕然)」イントロはさておき、ローディーは私を含めて多くの人がホイール購買欲に関してほぼ同じ道を辿ります。

 1. ディープリム?なにそれかっこいい

 2. 自分のバイクにディープリムつけたらかっこいいよね

 3. でもホイールって軽量化が大事なのか

 4. カーボンだと軽量だしリムも全部真っ黒でカッコイイ!欲しい!

 5. あれ、値段の桁がおかしいぞ(*´▽`*)

ロードバイクに乗り続けていれば最終的にカンパBORAの高級モデルやらzippのエアロモデルやらを買い漁る羽目になるのはこれまでの金銭感覚の狂い方から想像ができますが、それはすべてのカスタム(とトレーニング)を終えて究極の軽量化とエアロ化が必要になるくらい一周回った先のこと。今は高級なホイールを踏める足もなければ予算もなく、そもそもカーボンホイールを履いて颯爽と峠を登りながら追い抜きざまにドヤ顔をするためには普段使いできる程度のものでなければいけません。今欲しいのはいわゆる決戦用ホイールではなく練習用カーボンディープ

そんな我儘が通るわけがない、というのが少し前までの風潮でした。カーボンというのはその名を冠すだけでひとつの「ブランド」であり、また実際技術の結晶だったために値段は決戦用と題して宝物のように扱う以外の使い方は考えられないような、具体的にはフレームの値段をゆうに超えるようなものが主流でした。

 

しかし時代は変わりつつあります。ネットで手に入る激安カーボンフレーム、いわゆる中華フレームの台頭と並行して、中華ホイールと呼ばれる激安カーボンホイールがネット通販に出回るようになりました。中華というと怪しく聞こえるのですが実際は世界中の有名企業が台湾の工場群に製品の製造委託をしている現状で「これ自分たちで売ればいいじゃん」と気付いた中華企業が同じ製造ラインでコピー品を製造販売するようになったというのが事実です(正確には事実として語られている噂、です)。

 

Primeホイールの登場

そこに目を付けたのがCRC北アイルランドに本拠地を置く英国の自転車販売企業です。CRCwiggleと並んで最も有名な自転車オンラインストアですが独自製品も開発していて、昨年ついに独自ブランドPrimeホイールを発表したのです。

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このPrimeホイール、よくあるチープな製品かと思いきや意外とよく作られていて、CRCの説明文中でも費用対効果が他社比較で最高クラスであると宣伝されています。

たとえば、38mmセミディープリムのカーボンクリンチャーであるPR-38は公式サイトによると1430gで799ドル、約8万円です。別のサイトでは1300g台と説明されているところもあるので詳細な調査は次回に回しますが、とにかく普段の練習には嬉しいレベルの重量と業界最安クラスの価格です。カンパやフルクラムなどの有名アルミクリンチャーよりもコスパが良いかもしれません。

www.chainreactioncycles.com

このPrimeホイールは私の練習用カーボンディープという我儘を妥協せずにかなえてくれるスグレモノなのでしょうか。

 

今日はPrimeホイール登場までのイントロが長くなってしまったのでホイールのスペックは次回の記事で吟味してみることにします。

ではまた。

 

続き↓

sterling-ym.hatenablog.com

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