カリフォルニア通信

胸が踊るような何かを、カリフォルニアの空の下から。ロードバイクと写真と音楽と物理について。

ツアー・オブ・カリフォルニアを走る:サンノゼ市 San Felipe Road (1)

こんにちは。

元々この原稿は2月中旬に書いていたものでしたがいつの間にか3月になってしまいました。仕事も勉強も量自体は以前とあまり変わらないはずなのに細々したことが増えたので体感的にはとても多忙な日々を過ごしています。

今日は風邪をひいて自転車に乗れなかったのでその時間を使って面白い道路を紹介します。

 

最近、ベイエリア第2の都市サンノゼ近郊にある広大な土地で友人と自転車に乗る機会が増えています。その名もSan Felipe Road,昨年度のツアーオブカリフォルニアの舞台となったロードバイクのローカル聖地のひとつです。

 

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San Felipe Road (サン・フェリペ・ロード) : 一日目

2月某日土曜日、誘われるままにグーグルマップで下見もせずにライドに出発。

朝早くスタートするため車に自転車を積んでで現地へ。東京にいた頃なら輪行という選択肢がメインだったのでしょうがカリフォルニアには州を縦断する巨大な鉄道以外にはバス程度しか公共交通機関がなく、目的地には基本的に車で移動します。

行き先は最近グラベルバイクを納車した例の友人宅。坂の多い土地に整った街並みが続くちょっと高級な地区です。

 

到着して適当に挨拶をすましてから、彼がいきなり一言。

「俺今日は持ち物何もないから補給食とか色々よろしく。」

え、どういうこと??と聞き返すと、まだボトルも持ってないし買ったサドルバッグには携帯は入らないし、何も持っていけないとのこと。当然ジャージなんて持っていないので彼の自宅の鍵と二人分の補給食は私の背中のポケットとツールボトルに押し込まれることになりました。

 

予想外の出だしにずっこけながらも家の前の坂道を下ってライド開始。気持ち良い朝の風を受けながら右手を向くとガードレールの向こう側にはサンノゼの市街が見えます。住宅街の中に突然ビル群が現れるのは新宿の風景と似ています。東京を見慣れているとなんということのない風景でも、基本的にビルの少ないアメリカにこの風景は貴重。アップダウンの激しい街並みを抜けながら10分ほど走ると目的地の入り口が見えてきました。San Felipe Road,広大な自然保護区をぐるっと一周するルートの前半部分です。

 

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目的の道路に入ると突然現れた木々に街並みが遮断され、いきなり別の国に来たような雰囲気が待ち受けています。気がつくと普段あまり聞かないような鳥の鳴き声が自分たちのまわりを360度取り囲んでいました。道の横には鹿が歩いていて斜度4-8%くらいの道をハアハア言いながら登っている私たちを珍しそうに眺めています。目を合わせたら軽々と走り去っていってしまいました。

 

数分前まで綺麗に整備された人間中心の都市にいたはずなのに、保護区に入った途端に土地の主が変わる。自分たちが鳥やら鹿やらリスやらに部外者として観察されている...この感覚がロードバイクならではのスピード感を体験させてくれます。舗装路は少し古く亀裂に気をつけなければいけない区間もありましたが部分的には綺麗に舗装し直されていて、反対側からはお揃いのチームジャージを纏ったオニイサンとオネエサンたちが物凄い勢いで下ってきます。

そう、このルートはロード乗りの間で非常に有名なのです。

 

友人のS君はロードバイクにこそ2週間前から乗り始めたものの長年サッカーとテコンドーを続けてきたため私の2倍くらいの太さのある太腿(しかもほとんど筋肉!)を持っていていかにもスプリンターといった脚質。初心者に脚質も何もないだろうと思っていましたが意外と得意不得意は如実に現れるようで、登りがきつくなった途端に徒歩のようなスピードに落ちます。

 

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雄大な景色を見下ろすクライム区間。10%の斜度は初心者にはキツい。(写真は記事の1週間後のもの)

 

森林のような地帯は付近に流れる小川の冷気もあってひんやりとしています。

冷気がふわっと身体の付近を通り過ぎると鳥や小動物の鳴き声が遠のいて道路に自分たちだけがいるような感覚になるのが不思議です。

瞬間的に坂道スプリントで身体を暖めたりしつつS氏のスピードでゆっくりと坂を登っていく15分程度の間に景色は森林から山岳(崖やら大きな岩やら)、草原と景色を変えてから傾斜の浅いダウンヒルに突入しました。

 

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 車の来ない舗装路、緩やかなダウンヒルロードバイク、仲間とライド中、と来ればすることは一つ。Ultegraの硬いダブルクリック音を合図にレースを開始しました。

 

(2)に続きます。

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