カリフォルニア通信

胸が踊るような何かを、カリフォルニアの空の下から。ロードバイクと写真と音楽と物理について。

コンポを考える(1);コスパではUltegra一択!?

フレームが骨格だとすると、自転車の心臓と肺に相当するのがコンポーネント。コンポと略して呼ばれるこの部分は変則と運動の伝達を担う自転車の中核部分です。

そんなコンポは自転車をアップグレードするときには真っ先に候補になる部分ですが、値段はピンキリ。幅広いラインナップを持つコンポの中で何を選ぶか考えるのは自転車の楽しみのひとつだと思います。

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私は買い物の前に悩むのがとても好きなので最初にロードバイクに興味を持った5年前からコンポのことを考え続けてきましたが、最終的にはアルテグラ完成車を購入するに至りました。今日はリサーチの過程で気になった「ミドル-ハイエンドのコストパフォーマンス」について考えます。

 

1.コンポはシマノだけではない

ロードバイク初心者にはあまり知られていませんが、コンポを作っているのはシマノだけではありません。シマノは日本企業ということもあり日本では圧倒的なシェアを誇りますが他にも選択肢があるということを知っておいて損はありません。

SHIMANOシマノ

日本が誇る世界最大のコンポーネントメーカー。釣具屋さんとしても有名。今主流になっているSTIシフターを工業製品として世界で初めて導入したりコンポーネントの「グループセット」という概念(パーツのばら売りではない販売方式)を発明したのもシマノ。今年のツールドフランスではジャージ獲得者全員がシマノユーザーだったということもありエントリーモデルからトッププロに至るまで世界中で使われています。

CAMPAGNOLO(カンパニョーロ)

伝統のあるイタリアの自転車パーツメーカー。ホイールでも有名です。他社と比べて非常に高額ですがハイエンドモデルはパーツにカーボンを使用していて軽量化とブランド性を獲得したければカンパを選ぶことになります。海外ではカンパではなくカンピーと呼ばれています。

SRAM(スラム)

後発企業。他の2社が数十年の長い歴史を持つのに対してスラムがロード用のオリジナルブランド製品を開発したのはたったの10年前。歴史の浅さとは裏腹にリーズナブルな価格とデザイン性があり、プロにも使用される実力を持っています。

 

2.シマノを選択する理由

上記の3社が選択肢にあるとはいえ、現実的には多くの場面でシマノ一択。理由はコスパと信頼度にあります。カンパニョーロとスラムはシマノを凌ぐために独自性とブランド性を売りにしていますが、そうしたものは非常に高額で、安いものはこれといった特徴がありません。絶対的なパフォーマンスを考えるならどれを選んでも納得のいく内容となりますがコスパで考えるとシマノが優勢になります。そしてその選択を後押しするのが「圧倒的なシェア」の単語。誰でも使っていてプロも多くが使っていると聞かされて躊躇う人はいませんよね。

 

3.シマノのラインナップ

  • TOURNEY (ターニー):エントリーグレード。廉価だがスポーツに使用できる性能があるとは言い難く低価格のルック車にしか使われない。フロント2or3速、リア7or8速。

  • SORA(ソラ):こちらもエントリーグレード製品。ルック車ではなくロードバイクとして売られる製品の最廉価モデルはこれが使われることが多い。フロント2or3速、リア9速。
  • CLARISクラリス:大型メーカーに使用されるのはこのあたりから。最低限のことはこれでできる。見た目もスポーツモデルらしくなってくる。フロント2or3速、リア8速。
  • TIAGRA(ティアグラ):エントリーモデルのスポーツ用ロードバイクはこれが主流。必要最低限の機能が備わっており使用者も多い。フロント2or3速、リア10速。
  • 105(イチマルゴ/ワンオーファイブ):本格的にやるならここから、と誰もが口を揃えて勧めるミドルグレード。メーカーにもよるが20万円前後の完成車に付属することも多い。初心者は少し無理をしてでもこれを手に入れられると長く楽しめる。
  • ULTEGRAアルテグラ:ミドルグレードという位置付けながらプロレースでも多用される、完成度の高い製品。今年フルモデルチェンジで8000系がデビューしたがひとつ前の6800系も高性能と評価されていた。
  • DURA-ACE(デュラ・エース):最も歴史が長く、また性能の高いプロレース向けモデル。シマノのフラッグシップであり、毎年ほとんどのUCIプロチームにこのモデルが供給されている。軽量化に焦点を置いているため高級素材の使用率が高く、非常に高価。

シマノには上記のラインナップが用意されていますが、ロードバイクに装備されているのを見かけるのはTiagraからDuraまでの4モデルが多くなっています。しかし問題は価格。まず、Tiagraが4-6万円。この時点で高価ですが実はひとつ上の105は実質3-5万円程度で流通しており(ただし定価8万円)、Tiagraを単体で買う人がほとんどいないことがよく分かります。この105を基準にするとUltegraはその2倍(10万円くらい)、Dura-aceは3-4倍(15-20万円!)という価格になります。

高すぎない( ゚Д゚)!? と多くの人がここで悩みます。「105が真剣にロードバイクに乗りたい初心者の最低ライン(*´▽`*)」とか言われてもそもそもそんなに予算がありませんし、安いバイクを買って換装しようとしている人にとっても本体より高いコンポーネントって何!?という感じです。

そこで注目したいのがULTEGRA

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4.Ultegraの実質的なコスト

中古はそもそもカセットやチェーンリングが傷んでいることが多いので知人から譲ってもらえるとかでなければあまり買いたくありません。ということでwiggleやその他のネット通販で新品のグループセットの価格を検索すると驚くべき事実に気付きます。

なぜかUltegraはネット通販で猛烈に値引きされやすいのです。

参考までに9/4/2017時点で米国から確認できるグループセットの価格を記載すると、105が50%off, Ultegraが53%off, Dura-Aceが36%offとなっています。そしてこれが適用された販売価格は以下の通り。

  • 105: $400 (=4万円)
  • Ultegra: $650 (=6.5万円) ※ただし6800系
  • Dura-Ace: $1486 (=15万円)

なんと!元の価格差が6万円もあったものが2万5千円程度まで近づいています!一般的な販売価格の10万円と比べても今のアルテグラの価格は異常といっていいほど下がっています。その理由は2017年のモデルチェンジ。店頭販売と違って売れないものは永遠に売れなくなってしまうネット通販の特性により、フルモデルチェンジで旧モデルの在庫を抱えることを恐れた会社が在庫処分のための大放出を行っているようです。これはお得。ミドル-ハイエンドの性能を求めている人は「買い」です!

 

5.Ultegraで満足できるのか

お得とはいえ、Ultegraを買ったら満足できるのでしょうか。値引き後も高価なものだけに性能が気になります。

ここで見つけたのがGCNのビデオ。

youtu.be内容は新型アルテグラのレビューとなっていますが、途中に気になるひとことが。

デュラエースとの変速性能の差はあるのかとシマノのオフィシャルメカニックに聞いてみたんだ、そしたら全くないって言われたよ。軽量化のための素材は違うけど、変速の性能差は全くないんだ。」

 とサイモンが言っています。

 

えっ( ゚Д゚)?

 

あくまで新型についてのレビューなので新型8000系アルテグラと9100系デュラエースの比較になりますが、シマノの公式メカニックが変速性能差はないと断言しているようなのです。これがシマノのフィロソフィーとすれば6800系も構造上の性能差はほとんどないのではないかと予測できます。

6800系に関して直接性能差について公式にコメントを出しているソースを見つけることはできませんでしたが、実際多くの人が「きちんと整備すれば違いは分からない」とレビューしています。そもそもプロレースでコスト削減のためにアルテグラを使うチームがいるほどですから信憑性も高まります。

 

6.まとめ

さて、ここまでコスパでコンポを選んだ場合現在値引き中の旧アルテグラ一択になるのではないかという思考の流れをメモしてきましたがいかがでしょうか。あえて結論は書かず、こうした情報をもとにどう考えるのかという点は残しておきます。

もちろん新型アルテグラは高評価なのでそちらも十分に「買い」だと思いますし、そもそも新型に関しては公式に「重量以外にDURAとの差はない」と確認が取れていますのでコスパの高さが際立ちます。日本の自転車乗りはどうしてもツールドフランスで優勝できてしまうような最高性能にこだわりがちですが、性能と価格を考えて何を買うのが賢く満足度が高いのかを考えてみるのも良いかもしれません。

コンポーネントについて考えるのは非常に楽しいので次回の記事ではクランクセットについて細かく考えてみます。お楽しみに。

 

情報に間違い等ありましたらコメントにてご指摘ください。

ではまた(*´з`)

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